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平成20年4月から40〜74歳の被保険者の方々を対象に、特定健診・特定保健指導の実施が各保険者に義務付けられることになり、
該当する方々は特定健診・特定保健指導を受けていただくことになります。
特定健診の結果に基づき、生活習慣病の発症リスクなどから3つのグループ(情報提供・動機づけ支援・積極的支援)に分けられ、
保健指導を受けることになります。
◆特定健康診査等実施計画
1.はじめに
1−1 生活習慣病対策の背景
高齢化の急速な進展に伴って、疾病構造も変化し、疾病全体に占めるがん、虚血性心疾患、脳血管疾患、糖尿病の
割合は年々増加し、死亡原因でも約6割が生活習慣病で占め、また、医療費に占める生活習慣病の割合も国民医療費の3分の1と
なっています。
生活習慣病の中でも、特に心疾患、脳血管患者の危険因子とされる糖尿病、高血圧症、脂質異常症等の有病者やその予備群が
増加しており、また、その発症前の段階であるメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)が強く疑われる者とその予備群と
考えられる者を合わせた割合は、男女とも40歳以上では高く、男性では2人に1人、女性では5人に1人の割合に達しています。
国民の生涯にわたって生活の質の維持・向上を図っていくには、糖尿病、高血圧症、脂質異常症等の発症、あるいは重症化や
合併症への進行の予防に重点を置いた取り組みが重要であり、喫緊の課題とされています。
1−2 生活習慣病対策の必要性
国民の受療の実態を見ると、高齢期に向けて生活習慣病の外来受療率が除々に増加し、75歳頃を境にして生活習慣病を中心
とした入院受療率が上昇してきています。これを個人に置き換えてみると、不適切な食生活や運動不足等の不健康な生活習慣が
やがて糖尿病、高血圧症、脂質異常症、肥満症等の生活習慣病の発症を招き、通院し、投薬が始まり、生活習慣の改善がないままに、
その後こうした疾患が重症化し、虚血性心疾患や脳卒中等の発症に至るという経過をたどることになります。
このような経過をたどることは、国民の生活の質(QOL)の低下を招くものであるが、これは若い時からの生活習慣病の予防に
より防ぐことができるのです。仮に生活習慣病の境界域段階で留めることができれば、通院を減らすことができ、更には重症化や
合併症の発症を抑え、入院に至ることも避けることができます。その結果として、中長期的には医療費の増加を抑えることも可能と
なります。
こうした考え方に立って、今回、国・都道府県・医療保険者がそれぞれ目標を定め、それぞれの役割に応じた必要な取り組みを
行うこととなりました。
1−3 医療保険者による生活習慣病対策
今回の医療構造改革における医療保険者の役割分担として、「高齢者の医療の確保に関する法律」により、
平成20年4月から医療保険者に対し、40〜74歳の加入者(被保険者、被扶養者)を対象とする、内臓脂肪型肥満に着目した
生活習慣病予防のための健康診査(特定健康診査)及び保健指導(特定保健指導)の実施が義務づけられることになりました。
1−4 特定健康診査とは
1−4−1 定義
平成20年4月から、医療保険者(国保・被用者保険)は、40〜74歳の加入者(被保険者・被扶養者)を対象として、毎年度、計画的に(特定健康診査等実施計画に定めた内容に基づき)実施する内臓脂肪型肥満に着目した検査項目(別途規定)での健康診査を「特定健康診査」という。(法第20条)
1−4−2 対象者
加入者のうち、特定健康診査の実施年度中に40〜74歳となる者で、かつ当該実施年度の一年間を通じて加入している者
(年度途中での加入・脱退等異動のない者)。なお、妊産婦その他の厚生労働大臣が定める者(刑務所入所中、海外在住、
長期入院等告示で規定)は、上記対象者から除く(年度途中での妊娠・刑務所入所等は異動者と同様に、対象者から除外)。
1−5 特定保健指導とは
1−5−1 定義
平成20年4月から、医療保険者(国保・被用者保険)は、特定健康診査の結果により、健康の保持に努める必要がある者に対し、
毎年度、計画的に(特定健康診査等実施計画に定めた内容に基づき)実施する動機付け支援(別途規定)・積極的支援
(別途規定)を「特定保健指導」という。(法第24条)
1−5−2 対象者
特定健康診査の結果により健康の保持に努める必要がある者が対象者となる。
特定健康診査の結果により健康の保持に努める必要がある者とは、特定健康診査の結果、腹囲が85cm以上(男性)・
90cm以上(女性)の者、または腹囲が85cm未満(男性)・90cm未満(女性)のものでBMIが25以上の者のうち、
血糖(空腹時血糖が100mg/dl以上、HbAlcが5.2%以上)・脂質(中性脂肪150mg/dl以上、HDL
コレステロール40mg/dl未満)・血圧(収縮期130mmHg、拡張期85mmHg以上)に該当する者(糖尿病、
高血圧症又は資質異常症の治療に係る薬剤を服用している者を除く)である。次の図表にあるように、追加リスクの多少と
喫煙歴の有無により、動機付け支援の対象者となるのか積極的支援の対象者となるのかが異なる。
なお、腹囲の測定に代えて内臓脂肪面積の測定(CTスキャン等で測定した腹部の断面画像において内臓脂肪の占める断面積)
を行う場合には、「腹囲が基準値以上の者」は「内臓脂肪面積が100平方cm以上の者」と読み替える。
特定保健指導指導の対象者(階層化)
腹囲
| 追加リスク
| [4]喫煙歴
| 対象
|
[1]血糖 [2]脂質 [3]血圧 |
40-64歳 |
65-74歳 |
≧85p(男性) ≧90p(女性) |
2つ以上該当 |
- |
積極的支援 |
|
1つ該当 |
あり |
動機付け支援 |
なし |
|
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上記以外でBMI≧25 |
3つ該当 |
- |
積極的支援 |
|
2つ該当 |
あり |
|
なし |
|
動機付け支援 |
1つ該当 |
- |
|
|
(注)喫煙歴の - 欄は、階層化の判定が喫煙歴の有無に関係ないことを意味する。
2.特定健診・特定保健指導の実施計画
2−1 達成しようとする目標
平成24年度における特定健康診査の実施率、特定保健指導の実施率及び特定健康診査等の実施の成果に係る目標値を
次のとおり設定する。
項 目 |
平成24年度 目標値 |
設定に当たっての考え方 |
特定健康診査の実施率 |
70% |
平成24年度の全国目標の参酌標準による |
特定保健指導の実施率 |
45% |
同上 |
メタボリックシンドロームの該当者 予備群の減少率 |
10% (平成20年比) |
同上 |
2−1−1 各年度の目標値等
平成20年度から24年度までの各年度ごとの目標値を次のとおり設定する。
項 目 |
平成20年度 |
平成21年度 |
平成22年度 |
平成23年度 |
平成24年度 |
特定健康診査の実施率(%) |
40 |
50 |
60 |
65 |
70 |
特定保健指導の実施率(%) |
30 |
35 |
40 |
43 |
45 |
メタボリックシンドロームの該当者 及び予備群の減少率 |
10% |
2−2−1 特定健診・特定保健指導の実施方法
当組合の被保険者は、隣接県の一部市町村と宮城県内の全市町村の地区内に広範囲に分散して住所を
有していることから、
特定健康診査等の実施に際しては、被保険者の利便性・効率性等を考慮し、次に掲げる方法により実施する。
(1)実施場所
イ. 移動健診車による健診等については、県内の各支部が指定する場所
ロ. 市町村が行う特定健診等の枠組を利用して行う健診等については、各市町村が指定する場所
ハ. 医療機関、健診機関に委託して行う健診等については、各々の医療機関、健診機関が指定する場所
(2)実施項目
イ.基本的な健診の項目
項 目 |
備考 |
既往歴の調査 |
服薬歴及び喫煙習慣の状況に係る調査(質問票)を含む |
自覚症状及び他覚症状 の有無の検査 |
理学的検査(身体診察) |
身長、体重及び腹囲の 測定 |
腹囲の測定は、厚生労働大臣が定める基準(BMIが20未満の者、
もしくはBMIが22未満で自ら腹囲を測定し、
その値を申告した者)に基づき、医師が必要でないと認める時は、省略可
腹囲の測定に代えて、内臓脂肪面積の測定でも可 |
BMIの測定 |
BMI=体重(s)÷身長(m)の2乗 |
血圧の測定 |
|
肝機能検査 |
血清グルタミックオキサロアセチックトランスアミナーゼ(GOT)
血清グルタミックピルビックトランスアミナーゼ(GPT)
ガンマ―グルタミルトランスペプチダーゼ(γ-GTP) |
血中脂質検査 |
血清トリグリセライド(中性脂肪)の量
高比重リポ蛋白コレステロール(HDLコレステロール)の量
低比重リポ蛋白コレステロール(LDLコレステロール)の量 |
血糖検査 |
空腹時血糖又はヘモグロビン A1c(HbA1c) |
尿検査 |
尿中の糖及び蛋白の有無 |
ロ.詳細な健診の項目
追加項目 |
実施できる条件(判断基準) |
貧血検査(ヘマトクリット値、血色素量及び赤血球数の測定) |
貧血の既往歴を有する者又は視診等で貧血が疑われる者 |
心電図検査(12 誘導心電図) 眼底検査 |
前年度の特定健康診査の結果等において、血糖、脂質、血圧及び肥満の全てについて、
次の基準に該当した者
血糖 |
空腹時血糖値が100mg/dl以上、HbA1cが5.2%以上 |
脂質 |
中性脂肪150mg/dl以上、または、HDLコレステロール40mg/dl未満 |
血圧 |
収縮期130mmHg、または拡張期85mmHg以上 |
肥満 |
腹囲が85p以上(男性)・90p以上(女性)の者(内臓脂肪面積の測定が出来る場合には、内臓脂肪面積が100平方p以上)、
または腹囲が85p未満(男性)90p未満(女性)の者でBMIが25以上の者 |
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(3)実施時期又は期間
毎年度4月1日から翌年3月31日までの期間とする。ただし、市町村が行う特定健康診査等の枠組を利用して行う場合は、
市町村が指定する時期とする。
(4)外部委託の有無
特定健康診査等は、全て外部委託の方法で実施する。
(5)外部委託の契約形態
イ.健診機関に委託する場合は、個別に委託契約を締結する。
ロ.市町村が行う特定健診等の枠組を利用して行う場合又は県内の医療機関に委託して行う場合は、
保険者協議会が指定する代表保険者による集合契約を締結する。
(名称 宮城社会保険事務局)
(6)外部委託の選定に当たっての考え方
外部委託の選定に当たっては、下記の点に留意し選定する。
イ.当組合の被保険者は、広く県内一円に分散して住所を有しているため、被保険者の利便性と効果的かつ
円滑に特定健康診査等が実施できる体制を確保できること。
ロ.厚生労働大臣が告示で定める「特定健康診査の外部委託に関する基準(告示―別表第一)、
同(告示―別表第2)」に掲げる基準を満たしていること。
ハ.県内等において、これまで健診及び保健指導の実績等があり、特定健康診査等を委託するに足る運営管理体制が整備されていること。
(7)周知及び案内の方法
特定健康診査等の実施方法については、当組合発行の機関紙「宮建国保だより」及び「当組合のホームページ」
等に掲載し、全組合員に周知するとともに、年度当初に開催する各支部長等研修会において各年度の具体的な
実施方法について説明し、周知徹底を図る。
また、特定健康診査等の対象者に対しては、各支部を通じ、具体的な実施方法を記載した案内書を送付する。
(8)受診券及び利用券の交付
特定健康診査及び特定保健指導の対象者には、それぞれ対象者1名ごとに受診券及び利用券を作成し配付する。
受診券は各支部における健診日及び被保険者の誕生日等を考慮し、適宜に各支部を通じて各対象者に配付する。また、利用券については同様に特定健康診査の結果等を踏まえ選別し、適宜に対象者に配付する。
なお、受診券及び利用券の様式は画像1及び画像2に定める様式とする。
(9)代行機関
特定健康診査等の費用の支払い及びデータの送信事務を取り扱う代行機関として「宮城県国民健康保険団体連合会」を利用する。
(10)−1 特定保健指導の対象者の選定
特定保健指導を効果的に実施するため、抽出に際しては、次に掲げる者を優先的に選定し行う。
イ.40歳以上65歳未満の動機付け支援対象者
ロ.前年度、積極的支援・動機付け支援の対象者であったにもかかわらず、保健指導を受けなかった者
ハ. 保健指導レベルが、情報提供レベルから動機付け支援レベルへ、動機付け支援レベルから積極的支援レベルへ悪化した対象者
(10)−2 特定健康診査の対象者名簿の作成
特定健康診査の受診対象者は、毎年度4月1日現在の当組合の被保険者で、40〜74歳に該当する者とし、
各支部ごとに対象者名簿を作成する。
2−2−2
(1) 特定健康診査等の記録の保存方法、体制等について
特定健康診査等に関するデータについては、宮城県国民健康保険団体連合会が共同で実施する「特定健診データ管理システム」に
より保存し、管理するものとする。
また、特定健康診査及び特定保健指導を外部に委託して実施した場合の個人単位の健診結果データファイル及び保健指導
データファイルの保存管理については、それぞれの委託先において管理を行うものとする。
(委託先 )
(2) 特定健康診査等の記録の管理について
特定健康診査等に関する記録の管理にあたっては、個人情報の保護の重要性に鑑み、個人の権利利益を侵害することの
ないよう、以下に掲げる点に十分に留意し、取り扱うものとする。
イ. 個人情報を取り扱うにあたっては、個人情報の保護に関する法律及び同法に基づくガイドライン等を遵守すること。
ロ. 特定健康審査及び特定保健指導の業務に関して知りえた個人情報をみだりに他人に知らせてはならないこと。
ハ. 特定健康審査及び特定保健指導の業務を処理するために個人情報を収集するときは、業務の目的を達成するために必要な
範囲内で適正かつ公正な手段により行うこととし、個人情報の収集にあたっては、本人から収集し、本人以外から収集しようと
するときは、本人の同意を得た上で収集すること。
ニ. 被保険者から収集・取得した個人情報については、利用目的の達成に必要な範囲内においてのみ利用し、第三者に提供
しないこと。
ホ. 特定健康審査及び特定保健指導に関して知り得た個人情報の漏洩、滅失、及び棄損の防止、その他の個人情報について
適切な管理のための必要な措置を講じること。
ヘ. 特定健康審査及び特定保健指導を委託して実施する場合は、原則として再委託はできないこと。ただし予め委託して
実施することができる範囲が明示されている業務の一部を委託する場合はこの限りでないこと。
2−2−3 特定健康診査等実施計画の公表及び周知に関する事項
特定健康診査等実施計画の公表方法については、当組合機関紙「宮建国保だより」に掲載し、各組合員及び
被保険者に公表するほか、当組合のホームページに掲載する。
また、特定健康診査等を実施する趣旨等については、当組合機関紙「宮建国保だより」に掲載し普及啓発を図るとともに、
各組合員及び被保険者にパンフレット・リーフレットを作成配布するほか、各支部長及び事務職員等を対象とした研修会や
各支部主催の健康教室の場を通じて普及啓発を図る。
2−2−4 特定健康診査等実施計画の評価及び見直しに関する事項
特定健康診査等実施計画に定める特定健診等の実施及びその評価については、各年度別の目標値に対する実績等を年度末で
取りまとめ、毎年度4月に内部に設置する評価委員会で評価するとともに、その結果に基づき当初計画の見直し等を含めた
検討を行い、次年度以降の事業に反映させる。
2−2−5 その他特定健康診査等の円滑な実施を確保するために保険者が必要と認める事項
特定健康診査等の円滑な実施を図るため、代行機関及び委託先健診機関等と毎年度定期的に会議を持ち、特定健康診査等の
実施に伴う諸問題等について協議し、調整するものとする。
画像1.受診券の様式
画像2.利用券の様式
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